「今こばしたら、取り返しつかないよっ」 「そんなに大変 ? 「中間テストでポロポロだった分、取り戻さないと ! あの時は、転校したてで範囲がガ ラッと変わってて、もう・・・・ : 」 「ポロポロって : : : 何位くらいだったの ? : あーっ、しゃべってるウチに、ちょっとこばれたーっ ! 」 「わたし ? もう、大騒ぎである とはいえ、瞳を笑ってる場合じゃない 僕なんか、こばれるほど頭の中に詰めてないのだ。 「差し当たって、一番ャパそうな数学あたりから、一夜漬けするか 頭をかきながら、ばやく僕。と。 「 : : : ホントに ? 「ウワッ ? ス テ それまで悲鳴を上げていた瞳が、唐突に僕の顔を覗き込んできた。 期「ホントに、数学のテスト勉強するの ? 」 章「う、うん、 100 番以内に入ろうと思ったら、数学が一番の鬼門だし : : : 」 第「 : : : ふむ、仕方ない
どうして学校帰りに、アパートから遠く離れた、こんな場所までやってきてしまったん だろう この数年、一度として訪れたことなどないのに。 瞳との再会が、僕に気まぐれを起こさせたのかもしれない 終点に到着したバスを降り、目の前の風景を数年ぶりに視界に収めた。 フェンスがずらっと囲む、学校の校庭よりも広大な場所 ( くつかの建物。 その真ん中に、、 校舎より小さい施設がほとんどだが、たまに大きな工場もある。 なっき 『三陸技研航空開発事業部・天美工場』ーー僕の母・今村夏樹が働いていた場所だ。 ここに立っているだけで、膨大な量の追憶が、僕の脳裏を駆け巡る 『ただいま 『あら、まーくん、おかえりなさい』 『ジョンいるー ? 』 ・『んー、ジョンはねえ、今ちょっと買い物に行ってもらってるの』 『今日は帰ってこないとか ? 』 『分くらいで戻ると思うけど。食材の買い出しに行ってるだけだから』 : ジョンが食材を ? 』 2
・ : 今回のあとがきは 3 ページあるそれは予想外だったなあ ( 笑 ) 。 島津が、この仕事をするに至った経緯をたどってみると : : : 全ての " ルーツ。は、 1 台 のワープロだったような気がします。 昔から、島津は何しろ字が下手で ( 習字の授業があるってだけの理由で、国語がキライ だったくらいですから ) 、文章を書くなどという作業とは、およそ無縁の生活を続けてい ました。 そんなある日 ( 中学生の頃でしようか ) 、はがきの宛名書きの目的で、両親がワープロ を買ってきました。当時のワープロは、ディスプレイが釦字行程度しかない、今から 考えれば思い切り旧式のマシンです。 でも、そのワープロを前にして、僕はチラリと気まぐれを起こしたんです。 「直筆じゃなくても書けるなら : : : ちょっと、何か書いてみようかなあ」 ・ : 思えば、文章を書くことにハマったのは、この瞬間でした。 OLL 作家の火浦功先生の著作にのめり込んだのも、ほほ同時期 ( それ以前、フィクショ ンはほとんど読んでませんでした ) 。目指す道が決まる瞬間っていうのは、本当にあっけ ないものです。 もちろんその後、さまざまな紆余曲折があるワケですが : : : まだまだ頑張らなきゃいけ ワ」
こうして、夜空を見上げるのは、嫌いだ くらやみ 雨の日は濡れるだけだし、曇天の夜空は単なる暗闇でしかない それに 晴れ渡った星空を見るのは、つらい 星、天文、宇宙ーーロケット。 ゅううつ 星空にまつわる全てのイメージが、僕の記憶を過去に引き戻し、憂鬱な気分にさせる みすしましんたろう ゅうあい 去年、友愛学園の天文部に入部したのも、自分の意志じゃない。悪友の水島慎太郎に引 きずられるようにして、籍を置いてしまっただけだ。 ころ だから、夏休みが開けた頃から、僕は部室に顔を出さなくなった。 2 年生に進級した今 となっては、すっかり幽霊部員だ。 星空についての最後の「 ( ー思 ( 出」は、僕がまだ小学生だった頃までさかのばら ないといけない 僕は草原で、同級生の女の子と二人で、夜空を見上げていた。 それは、既に転校が決まっていた女の子との、最後の思い出でもあった。 しね』 『いっか、あの星まで行けたらい、 引っ込み思案だった女の子が、初めて自分の夢を語ってくれた。 『転校 : : : したくないよう : : : 』 たった半年のクラスメ 1 トだった僕に、彼女は涙ぐんでみせた。そして。
「よし、総員観測準備 ! 」 約 3 時間かけて山頂に到達した僕たちは、すぐさま準備に取りかかった。 慎太郎はといえば 地面に這いつくばって寝ている。いつもなら真っ先に望遠鏡の組 み立てを始める彼だが、さすがに今はグロッキーなようだ。 「準備だと言っている ! ( げしいっ ) 」 「むぎゅう : そんな慎太郎に、無情にも蹴りを入れる天子部長。ちなみに、 " あらゆる武道に精通し た格闘技の申し子 ~ というウワサがまことしやかにささやかれる、豪傑である。 「 : : : きびしーなー」 「さすが、寸止めなしのフルコン観測 : : : 」 「さ、こっちも難癖つけられないうちに、さっさと始めてしまおう」 「らじゃー」 夜 明日は我が身ーー部員たちは慎太郎に同情しながら、準備を手早くすませた。 の 宿観測が始まると、僕はもつばら瞳のコーチ役を務めることになる。 合 夏 入部したての頃は、望遠鏡を壊したり、『ねこ座とかオコジョ座とかってナイの ? 』と 章無茶苦茶な質間をしたりしていた瞳だったが、 " オリオン君 ~ 購入後は、着々と知識や経 第験を蓄積していたようだ。 月 5
あれ以来ーー僕は、瞳と会っていない 大急ぎで実家を飛び出した 1 年前ーー僕が駆け込んだ病院に、既に瞳はいなかった。 手術のために、転院していたのだ。クラスメートでしかなかった僕に、看護婦さんは転 院先を教えてくれなかったのだ。 『一言いたいことが : ・言したいことがあるのに・ あれほど落胆したのは、母さんが逝ってしまった時以来かもしれない でもーーーあの日の誓いを、僕は破らなかった。 : もう、逃げない・ 『僕は : そう誓った以上、瞳に会えない " 程度の ~ ことで、夢を再びあきらめることは、ありえ なかった。 瞳の姿のない友愛学園で、僕はひたすら夢を追った。 数学を、英語を、ロシア語を、物理をーー・およそ、宇宙飛行士を目指すのに必要と思わ れる知識を、片っ端から吸収した。 そして、 1 年後の今ーーー僕はへの切符を手に入れていた。 夢の人口へのパスポートを、この手につかんだのだ。 ただー・ー夢への切符を手に入れても、心の空虚が完全に埋まったわけではない 僕の夢のパズルを完成させるには、あと 1 ビースだけ足りなかった。 774
第 9 章 The Day ふと、おもむろに押し入れからダンポール箱を引っ張り出す僕。 もう着なくなった中学の制服、卒業証書、古い教科書ーーーの中は、古い記憶の巣窟だ った。 あ、これ 小学校の時の作文だ。 何を書いたつけなあーーーあはは、宇宙飛行十だけ、漢字使ってやんの。 お、こっちには絵がある。宇宙遊泳する自分の絵だ。 へタクソなクレョン画だけど , ーー、懐かしい 黒い宇宙に浮かぶ、銀色のロケットと白い宇宙服。 あの頃は何も考えず、ただ単純に自分のやりたいことをやりたいって言えた。 子供ってそうなんだろうな。 無知で幼くて自己中心的で、起きていても夢ばかり見ているような時期だ。 その純粋さがーー今の僕には羨ましい 母さんが逝ってからの数年間、僕の時は止まったままだった。 何もしてこなかったわけじゃない。でも 心の奥底にある、夢への恐怖ーーー死への恐怖ーーー失敗への恐怖 瞳を好きになればなるほど、増大する恐怖ーー失敗への恐れーーー孤独への恐れ。 自分が惨めになる。 うらや 0 0 そうくっ 765
を操縦するパイロット宇宙飛行士になるしか道がないからだ。 手つ取り早い方法は、空軍に入り、ジト飛行経験を千時間以上持ち、強い ( 重力 加速度 ) の中でも気絶しない肉体的特質を身につけること。 そうして、なみいるライバルたちを押しのけて、軍から出向の形でへ行く。 この過程を経て初めて、彼は幢れの宇宙飛行士へとなることができる。ただし、日本国 籍は捨てなければならない。 では、何の特技もない一介の日本人学生は、宇宙飛行士になれないのか ? 否、手段はもう一つだけある。 宇宙開発事業団ーー所属の宇宙飛行十になることだ。 ただし、現役の宇宙飛行士の総数は、せいぜいが 5 ー 7 人 そして、まれに行われる募集では、数百人から千人にも及ぶ志願者の中から、一人か二 人しか選ばれない 。しかも、募集は毎年行われるわけではない おくめん これほどの狭き門に挑むなどと、臆面もなく言える僕じゃない 子供の頃は言えたかもしれないが、今はとてもじゃないけど無理だ もちろん、情けないってことは、自分自身が一番よく知っている。 だけど今さら、『宇宙飛行士志望だった』なんて自分で言うのは、やつばり恥ずかしい じゃないか あこが
バラダイム・ホームページの お知らせ thttp://www. arabook.co. ・ p»r お問い合わせアドレス : info@pa 「 abOOk. CO.jP -- ドド討 1 HO ロ 、 0 0 0 0 0 当べ朝 ′を三を、第上第・物・ムお第毅入リを一情・物 : 一大を一プリント アドレスこ ! の " “い。物・第 メ・ル - を バ、ム・の市 - ムざ - ジ ` ようこそ 下りメニ 1 ーからサービスをおむ ( 簷きい 最第新日日月 27 日 つ 0 1 3 ら・ NEWS Art Works NOVELS 第作等社のを第・第代物 ( す . ・新転・画村第 0- 切を第じます . 本 - ぞ用きれているタイいい画・・を第ラアタ - は i い ) 0 い川リに亡Ⅲ MAIL ご意第・ご要は下記アドいスま ( お第せくだ ! い . 通信販売では ) 全作品を紹介しています。 一 = 100 冊以上のシリーズ ・今までに発売された、 既刊コーナーでは一 ー 3 3 日物式会社バつダイム 全国どこにでも送料無料す お届けいたします。 ■新刊情報・ ・既刊リスト■ ・通信販売・ バラダイムノベルス の最新情報を掲載 しています。 ぜひ一度遊びに来て ください ! バラダイムノベルス 0 M OV を を物リズ 1 ト 1 を 20 引 : 50 , な誉 0 EiOME
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